子育て情報

偏食は心配だけれど…

無理強いは逆効果。
「食べ物に好き嫌いがある」と子どもの偏食を心配する親は多い。つい無理強いしがちだが、それが逆に食事嫌いの一因になることもある。子どもは時間をかけて様々な味に慣れていく。「一食一食を気にしすぎず、食事中はしからずに」と専門家は助言する。 「サラダは、いっぱい?ちょっと?」―「ちょっと」。給食当番の子どもと先生が、列を作る子どもたちに尋ねながら、ご飯とおかずをよそっていく。
東京都八王子市の「S園」の給食は、2歳後半からメニューごとに自分が食べたい量を自己申告するユニークな方法だ。この日のメニューは「みそこんにゃく」「ニンジン、キャベツ、ハムなどのサラダ」「豚肉やにんじん、ネギが入った納豆チャーハン」など。F園長は「保育者が勝手によそうより、子どもたちは意欲的に食べている。自分で選んだものだから、食べ残しも少ない」と話す。栄養バランスを心配する声もあったが、地元の大学の協力で一定期間、家庭での食事を含め量や栄養などを調査したところ問題はなかったという。同園は各家庭に、給食メニュー、給食以外の食事で取ってもらいたい栄養のポイント、子どもに好評だった食事のレシピを知らせている。嫌いなものがあっても別の食べ物で補うことができる。食事は強制されるのではなく、生きる欲求に基づいて楽しむべきものです」と藤森園長は言う。
埼玉県内の女性社員(34)は4歳の長女が野菜嫌いなので心配している。「身長や体重などは標準だが、やはり栄養バランスが気になる。つい食事中に、『早く食べなさい』と、大声を出してしまうこともあります」電話相談「東京ガス食の生活110番」は昨年、「食べない幼児」をテーマに、相談を受け付けた。176人が相談し、内容は「偏食」23.8%が最も多く、「同じものばかり食べる」19.2%、「食べる量が少ない」9.3%などが続いた。「『一日に必要な栄養量』などの情報があふれていることもあり、食事を無理強いする親も多いようだ。しかし、かえって子どもを食事嫌いにしかねない。親の焦りが、食べない遠因かもしれない」と担当者。一食一食を気にしすぎず、1週間くらいの中で栄養バランスを考えればいい。同じものばかりを食べることも幼児にはよくあり、あまり心配はいらないという。財団法人こども未来財団が運営する「i-子育てネット」で、日本小児保健協会が子どもの食事についてアドバイスしている。好き嫌いは生後10か月くらいから始まる。嫌われるのは圧倒的に野菜で、独特の苦味などが原因。しかし、様々な味を経験するうちに慣れていく。1,2歳児の場合は、細かく刻むなど調理の工夫も必要。3歳以降は、料理の手伝いなど楽しい経験をきっかけに好きになることも多い。「食事中はうるさく言わず、ほめる、励ますなどの接し方を」と勧めている。

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