国際化が進み、日本人の英語への関心は高まる一方です。2002年度から小学校の授業に英語が本格的に取り入れられ、小さい内から習わせる家庭も増えそうです。必要性についてはほぼ半分に意見が分かれているようです。あなたはどちらですか。?
今月寄せられた投書は全部で85通。その内訳は、幼児に英語は必要「ハイ 44人・イイエ 40人」実際に習わせている「ハイ 44人 イイエ 39人」でほぼ半々のようです。ただ英語は必要と考える人が若干多かったが、ほぼ半分に意見が分かれたのが今の状況です。「必要」とする代表的な理由は、「これからの国際社会を生きるには、英語が話せることは必須。小さいうちから習うことが大切」(東京都の公務員(34)・「自分たちが子どものころとは時代が違う」(千葉県松戸市の水村和香さん)(34)という声も多く、「子どもの将来の就職に有利」という”現実的”な考えも目立った。「必要」と考える人には、自分が英語で苦労した人、海外暮らしなどで英語が使える人の両タイプがいた。
千葉県や八日市場市の主婦大久保昌子さん(37)は「中学校で初めて習い、ずいぶん戸惑った。言葉を覚えるには早いほうがいいのでは」と言う。東京都の女性会社員(31)は「夫婦とも帰国子女で英語が話せるので、仕事の面でも得をし、交友関係も広がる」、十代まで欧米で暮らしたという山梨県山梨市の主婦(35)は「発音は小さいうちに身につけることが大切。娘にも英語で苦労させたくない」とその必要性を強調する。
これに対し、「必要ではない」という理由では「まずしっかりとした日本語を」という声が多かった。「日本語や日本文化が身につかないまま英語が出来ても、国際人といえるのか疑問」(川崎市の主婦森聴清子さん・35)「日本語が中途半端になってしまう」(川崎市の主婦・38)などだ。「小さいうちは、友だちと遊ぶなどほかにも大切なことがある」(山形県南陽市の主婦平あけみさん・38)という声も。投書は、20-40代の女性がほとんど。英語ができると記入のあった投書で意見の違いを調べても、はっきりとした違いは出なかった。実際習わせるかどうかも、ほぼ半分に分かれた。教室に通う他、英語教材を利用している人も多かった。
投稿者の中には「必要だと思うが、習わせてはいない」という人もいます。兵庫県の自営業者の女性は(42)「異文化に触れる機会が幼い頃からあったほうが好ましいが、知識で無く体験を通して自分の世界を広げて欲しいと思う。しかし、それにふさわしい環境が見つからない。方法を間違えれば、逆効果になるかも知れない」と言います。皆様もよく考えて取り組んで行きましょう。「生活ふぉーらむ」より抜粋
幼児英語教育の必要性について、読者の意見は分かれたが、専門家の間でもその是非をめぐり意見は分かれている。日本児童英語教育学会会長で、富士常千葉大教授の中山兼芳さんの話「無理に勉強させる必要はありませんが、世の中にいろいろな言葉や考え方があることを早いうちに知ることには意義があります。好奇心が強く、言葉の吸収も早い幼児期に、英語に触れるのはいいことでしょう。模倣能力が最高の4-8歳はあらゆる言語の音を聞き分け、その音を発することができます。英語特有の発音やリズムを自然な形で習得するのは、この時期が最適です。この時期の子どもは、感覚や動作を通して物事をとらえ、言葉を身につけるという特徴を持っています。そのため歌やリズムを使って、また絵本などを読んで聞かせるなどして、遊びのひとつとして楽しみながら英語に触れさせることが大切です」
慶応大学言語文化研究所教授で日本英語学会理事の大津由紀雄さんの話は、「小さい頃に英語圏に住むなどし、質、量ともに相当の英語に触れれば、発音や聞き取りの力はつきます。ただ日本でその環境を得るのは難しい。日本では”ネイティブ信仰”が根強いですが、世界各地でいろいろな人種が様々な英語を話しており、ネイティブ英語はある意味幻想です。
英語教室、教材の質はまちまち。幼児期におかしなくせが付くと、直すのが難しくなります。また、英語が特別な言語だという偏った意識にもつながりかねません。中学校から英語を学び、世界中で活躍している人は数多くいます。英語のしくみを教えながら、これまでより集中的な授業を行えば、中学からでも十分に間に合います」
国際化が進み、日本人の英語への関心は高まる一方だ。2002年度から小学校の授業に英語が本格的に取り入れられ、小さいうちから習わせる家庭も増えそうだ。ただ、今月のテーマ「幼児からの英語教育、どう思う?」に寄せられた投書では、必要性についてほぼ半分に意見が分かれた。年代や英語体験による意見の差はなく、言葉や文化などについてのそれぞれの価値観が影響しているようだ。