子ども服 安全規格を
      フード、ひも・・・事故原因に


   上着のフードが遊具に絡まって窒息しそうになるなど、子ども服が原因の事故は意外と多い。欧米などでは、子ども服に関して厳しい安全規格が定められている。日本でも子ども服の「安全」に関心が高まっており、危険な子ども服のデザインを規制する動きも出てきた。(竹之内知宣、谷本陽子)
 「5歳の息子がジャングルジムで遊んでいたら、トレーナーのフードが鉄パイプに引っかかり、首をつった状態になった。すぐに抱き上げて助けたが、首にあざが残った」
 「小学6年生の息子が、長ズボンから垂れていた、すそ上げのひもを踏んで転び、右手首を骨折した」東京都が昨年初めて実施した「子どもの衣類にまつわる危害・危険調査」に寄せられた事故事例だ。
 調査は、1歳から12歳の子どものいる親1163人を対象に行われた。それによると、8割近い895人が子ども服が原因でけがをする危険を感じていたといい、そのうち192人が実際にけがをしていた。とくに@靴下やタイツが滑りやすくて転んだA上着のファスナーで顔や首をひっかいたB上着についているひもが物にひっかかって転んだなど、ファスナーやひもが原因になる場合が目立った。
 調査を担当した東京都生活安全課係長の桜井修さんは「子ども服が原因で、危険な思いをしている人がこんなにいたことに正直、驚きました」と話す。  欧米では、政府などが子ども服に関連した事故情報を収集・分析し、再発防止につなげている。一方、日本では行政による安全対策はもちろん、実態調査もほとんど行われていない。
 子ども服のデザインによる事故の危険性がこれまで見落とされてきた原因の一つには、消費者側の「子どもの事故は親、とくに母親の不注意のせいにするという風潮がある。例えば、今回の都の調査でも、事故の危険に直面した親のうち「衣類に何らかの問題があった」と回答したのは24.2%に過ぎない。続いて「衣類の選び方が適切でなかった」(23.5%)。「衣類は関係なく大人の不注意だった」(22.8%)の順。さらに「衣類に何らかの問題があった」と考えた人でも、メーカーや消費生活センターなどに、その問題を伝えた人は1割もいなかった。
 NPO法人「子どもの危険回避研究所」(東京)所長の横矢真理さんは「事故情報が広く伝わっていなかったため、これまで子ども服の危険性が表面化せず、デザイン面での改善も進んでこなかったのではないか。事故情報を積極的に関係機関に通報することは、再発防止や安全性の向上につながる大切なこと」と強調している。
 ■子ども服の事故事例■(東京都のアンケート調査から)
  ・電車の中で、パーカーのひもが他人のかばんの金具にひっかかり、反対方向に引っ張られ首がしまった。(4歳)
  ・ジャンパーのすそのひもを足で踏んで転倒、あごをすりむいた。(5歳・男児)
  ・祖母がパーカーのファスナーをあげたところ、勢いあまって首の皮膚を挟んだ。(3歳・女児)
  ・ズボンのおなかあたりのひもが、ジャングルジムにひっかかり、動けなくなってしまった。(6歳・男児)
  ・上着の襟に付いていたリボンが滑り台のてっぺんの金属にひっかかり、首がしまりそうになった。(3歳・女児)
  ・ズボンのファスナーをあげたら、陰部をはさんだ。(3歳・男児)
  ・トレーナーの飾りビーズが、脱ぐときに取れて耳に入り、耳鼻科で取ってもらった。(小学2年・女児)
(読売新聞 07/07/11より)